【県指定有形文化財】 旧吉田家住宅主屋
東日本大震災(2011年)の津波で全壊してしまった、県指定有形文化財『旧吉田家住宅主屋』。約14年にわたる復旧を経て、2025年5月23日に待望の一般公開が始まりました。
陸前高田の歴史・文化と、震災からの復興の想いが詰まり、市民に親しまれてきた『旧吉田家住宅主屋』をご紹介します。
旧吉田家住宅主屋の歴史
岩手県陸前高田市の気仙町今泉地区にあった吉田家住宅は、江戸時代に仙台藩領気仙郡の24ヵ村を治めた大肝入の執務所で、1802年に今泉村の大工・七五郎によって建てられました。
地元では、「大庄屋(おおじょうや)」として親しまれ、茅葺屋根の主屋には座敷3室、広い土間の台所、居間などが配置された大規模な造りでした。敷地内には土蔵や味噌蔵、庭園もあり、今泉地区の歴史文化を今に伝える貴重な建物です。藩主や幕府巡見使の宿所としても使用され、細部まで計画された格式ある建物でした。

震災前の吉田家住宅の姿の模型(主屋・土蔵・味噌蔵・納屋)
🔸大肝入とは
江戸時代の地方行政における役人のことです。領主(この場合は仙台藩)から任命されて、年貢の取りまとめ、治安維持、裁判の補助、視察対応などを任されてました。
🔸吉田家の場合
気仙郡24か村の庄屋を束ねていたので、まさに地域のトップ。
幕府の偉い人や藩主が来たときには宿所とするため、立派な建物を建てる必要がありました。
東日本大震災からの復旧
2011年3月11日に発生した東日本大震災の大津波により、海に近く気仙川の側にあった吉田家住宅は全壊。部材の多くは元の場所から数100mの範囲に散出してしまいました。
しかし、津波でバラバラになった部材を、吉田家当主と吉田家住宅の復旧を願う地域住民が奔走して探し回り、建物全体の6割にあたる部材を回収。
回収された木材は、海水や塩分を除去する洗浄処理が施され、部材の形状やホゾなどの痕跡を手がかりに、それぞれがどの位置の部材であるかが調べられました。そして、被災した部材と新しい材料を組み合わせた復旧作業が、震災から約10年後の2021年8月に始まりました。
着工から約3年8ヵ月、 気仙大工左官の匠たちの技術が結集し、令和となったいま当時の姿が再び気仙町に戻ってきました。
惜しくも附属屋3棟(土蔵、味噌蔵、納屋)は失われてしまいましたが、主屋1棟は県の文化財として指定が継続されることとなりました。
旧吉田家住宅主屋の見どころ
気仙大工による精巧な木組み技術や、左官職人の伝統的な壁塗り技法などを見ることができます。茅葺き屋根と太い梁が特徴の重厚な造りは圧巻。釘を使わず木を組む継手・仕口の美しさや、柱や梁にも注目です。

梁の中には、震災で流され回収された部材が再利用されていて、その傷跡や色の違いが見えるようになっています。囲炉裏のお部屋に行ったらぜひ見上げてみてください。
地元の暮らしや気仙大工左官の道具の展示、復旧の道のりなど見ごたえのある展示があります。なかでも管理棟で見ることができる「吉田家文書」は貴重な資料です。
記念になるお楽しみポイントもたくさん
入口付近にあるマンホールがカードになって配布中です
(お1人さま1枚限り)
\ 来館記念スタンプ /
マンホールデザインのものと
旧吉田家住宅主屋仕様のせき坊のものが!
\ ガチャガチャも /
種類は全部で4種類
500円玉をお持ちください!
▼ いずれも旧吉田家住宅主屋管理棟で入手可能です
津波で全壊した吉田家住宅は、多くの人々の協力を得て元の場所によみがえりました。
津波で散らばってしまった建材を、ひとつひとつ手作業で集め、昔ながらの工法で丁寧に建てられた吉田家住宅は、世界でもめずらしい復旧のかたちとして注目されています。
陸前高田市気仙町・今泉地区を訪れた際には、ぜひ、歴史と技術、そして人々の想いが息づくこの場所に立ち寄ってみてはいかがでしょうか。


さらに気仙大工左官について知ることができる「気仙大工左官伝承館」もおすすめです。
定休日 - 月曜日(祝日の場合は翌平日)年末年始(12/9~1/3)
開館時間 - 9:00~16:00
入館料 - 無料(令和8年3月31日まで)
【無料期間以降の料金】
個人:300円 / 団体(10人以上):200円、陸前高田市民、学生及び高校生以下、障害者手帳所持者(重度)とその介助者1名:無料 所在地 - 陸前高田市気仙町字町裏200-7
電話番号 - 0192-22-8872
HP - 陸前高田市ホームページ